沙流川層の枕状溶岩
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形状を立体的に観察できる

沙流川層の枕状溶岩

写真1:枕状溶岩の積み重なりの垂直断面.枕(ピローローブ)の伸びにほぼ垂直な断面であるが,一部斜交している部分がある.【写真: 川村信人】
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写真2:写真上に見える大きな枕の先端から手前側に枕が流れ出して広がっている.よく見ると,流れ出した枕の右側に,小さな枝分かれが見える.【写真: 川村信人】
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北海道中央部の神居古潭帯は,高圧型変成を受けた付加体が分布する地質帯として有名であるが,その中には周囲の地質体と異質で,その帰属が不明なものがいくつかある.沙流川層もその一つで,下位の玄武岩質枕状溶岩と上位の変形した砂泥互層からなる地層である.沙流川蛇紋岩体と始新統のニセウ層に断層で挟まれる板状の地質体で,砂泥互層からは香束ほか(2002)により古第三紀始新世の化石が発見されている.ニセウ層とともに,古第三紀中期の付加体として特異な位置を占めている. 沙流川層の枕状溶岩は,北海道の先新第三紀のものとしては例外的に変形や変成作用を受けておらず,ほとんど水平層であり,そのオリジナルな枕状溶岩の構造が良く観察できる場所として貴重である. 河岸の垂直な崖には,枕状溶岩の垂直断面が良く露出している(写真1).枕の断面には良く見ると,中心部がカマボコ状断面の空洞になっていてそれを炭酸塩鉱物などが埋める“ジオペタル構造”も観察できる.それによると,この枕状溶岩の水平層は上下逆転していない. 一方沙流川河床部では,枕状溶岩の積み重なりを上から観察できるので,枕状溶岩の水平的な流走構造や枕の表面構造などがいくつか観察できる.写真2は,枕(ピロー)の一部に穴が開き,そこから内部の溶岩が流れ出したことを示している.流走方向は写真の上から下に向かっている.枕の表面には,ローピーしわ(ropy wrinkle)やコルゲーション(corrugation)もよく観察できる.

【執筆者:川村信人・加藤孝幸】

所在地

平取町 岩知志(岩知志発電所上流)

参考文献

加藤孝幸・植田勇人・鴈沢好博・木崎健二・川村信人・小野昌子・中川 充(2000):空知-エゾ帯,日高町周辺の地質構成とテクトニクス-沙流川緑色岩を中心として.日本地質学会第107年学術大会講演要旨,262.
香束卓郎・伊藤谷生・相田吉昭(2002):北海道,日高前縁褶曲・衝上断層帯,沙流川層より産出した始新世放散虫化石.地質雑,108,474-477.

 

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