重くて黒い石の正体は
納沙布岬と層状分化岩体
北海道最東端の根室市納沙布岬は,付近で最大の層状分化岩体でできています.層状分化岩体とは,マグマが地下でややゆっくり固まるときにできた結晶が層を作っているもので,それぞれの鉱物結晶も大粒なものが多くなります.
こうした岩体は納沙布岬だけでなく,トーサムポロ岬とその東部海岸やヒキウス海岸などの海蝕崖にも露出しています.これらは中生代白亜紀の根室層群に,岩床(シルまたはラコリス)として貫入したものです.
岩体中心部はアルカリ玄武岩質で,主に斜長石・アルカリ長石・単斜輝石からなり,少量のかんらん石・黒雲母・チタン磁鉄鉱を含む重くて黒っぽい石が大半を占めています.一方岩体下部から上部へは,斑状ドレライト・優黒質モンゾナイト・下部モンゾナイト・閃長岩・上部モンゾナイト・斑状モンゾナイト・斑状ドレライトというような名前の石が層状に重なっています.こうした変化は,マグマが固まる時にその場所で分化した結果であると考えられています.
既存の指定など
全国灯台50選
根室十景
所在地
根室市 納沙布
リンク
参考文献
北海道立地下資源調査所(1959)5万分の1地質図幅「納沙布(釧路-14)」および同説明書.46p.
道東の自然史研究会編(1999)地質あんない/道東の自然を歩く.北大図書刊行会.