春国岱
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巨大地震でできたバリアアイランド

春国岱

北側上空から眺める地震成バリアアイランド春国岱の全景.写真左がオホーツク海,右が風蓮湖.3帯の砂州が明瞭に認められる.手前の主要な潮流口以外にも,根室半島の付け根にも潮流口があり,孤立した“島”であることが分かる.【写真: 根室市役所農林課】
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春国岱の砂州に認められるアカマツのゴーストフォレスト.満潮時の浜堤間低地には海水が流入し立ち枯れが起こっている.【写真: 七山 太】
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根室半島の付け根にある春国岱(しゅんくにたい)は,オホーツク海の沿岸流が運ぶ漂砂が堆積して出来た砂州であり,延長約8km,最大幅約1.3km,面積約596haである.約3000年以降に形成された3~5列の砂丘(浜堤列)によって構成され,陸側ほどその標高は高い.この砂州は,狭い範囲に森林,草原,湿原などの自然環境が共存しており,多様な野生生物を見ることができる.特にアカエゾマツ林は砂丘上に形成されており,世界で2例しかない大変珍しい場所とされている.

春国岱は厳密に言うと砂嘴(さし)ではない.実は北側の主要な潮流口以外にも,根室半島の付け根にも別の潮流口があり,これら2箇所の潮流口から風蓮(ふうれん)湖への潮の押し引きが毎日ある.地形学的には,春国岱はバリアアイランドと定義され,オホーツク海と仕切られた海跡湖(ラグーン)である風蓮湖と共に我が国では珍しいバリアシステムを形作っている.

春国岱のアカマツ林は,立ち枯れた状態(“ゴーストフォレスト”と呼ばれる)が年々増えている.これは以前から地球温暖化による海面上昇のためと噂されてきた.ところが最近の地質調査の結果,5000~6000年前以降,この地の海面はほぼ停滞しており, 17世紀に道東太平洋沿岸域が巨大地震に襲われた際,地殻が1~2m隆起したことがわかった.逆に現在は,8.5mm/年の速度で急激に地盤沈降していることが国土地理院のGPS観測で判明している.よって,現在の海面上昇は次の巨大地震まで続くと予想され,この間,春国岱と風蓮湖の形作るバリアシステムは保持されるのだろう.春国岱は巨大地震によって生じた世界でも特殊なバリアアイランドである.

【執筆者:七山 太・中川 充】

既存の指定など

野付風蓮道立自然公園

風蓮湖・春国岱としてラムサール条約登録湿地

根室十景

所在地

根室市 春国岱

リンク

根室市春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンター

根室市歴史と自然の資料館

参考文献

北海道立地下資源調査所(1962)5万分の1地質図幅「厚床および落石岬(釧路-26,39)」および同説明書.28p.
道東の自然史研究会編(1999)地質あんない/道東の自然を歩く.北大図書刊行会.