白亜紀前弧海盆の最下部層
千呂露層の半遠洋性堆積物
日高町千栄西方の沙流川にかかる吊り橋の下に,北海道の白亜紀前弧海盆の始まりを示す地層が露出している(写真1).
この地層は,淡緑色を帯びた珪質シルト岩・珪長質凝灰岩の互層からなり(写真2),千呂露層(Kiminami et al., 1985)と呼ばれている.珪長質凝灰岩は,比較的粗粒で,平行葉理を示し,一部コンボルート葉理を示す(写真3).
この露頭のすぐ下流には,弱変成の枕状玄武岩(海洋プレート)が露出し,千呂露層が堆積した前弧海盆の基盤を示している.千呂露層は,このような海洋プレート上の半遠洋性堆積物と,島弧側から供給された凝灰質堆積物からなる.また,これらの上位(上流側)には岩石橋~滝の沢にかけて蝦夷層群下部層準の厚層タービダイトが分布しており,海洋プレートがトラップされて新たに出現した前弧海盆における陸源堆積作用のスタートを示している
所在地
日高町 千栄西方沙流川6号吊橋下
参考文献
Kiminami, K., Kontani, Y. and Miyashita, S., 1985, Lower Cretaceous strata covering the abyssal tholeiite (the Hidaka Western Greenstone Belt) in the Chiroro area, central Hokkaido, Japan. Jour. Geol. Soc. Japan, 91, 27-42.
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