島の南東海岸の急崖を形成
奥尻島 赤石岬の花こう閃緑岩
奥尻島南東部の海岸は,赤石岬から弥右衞門岬まで急崖が連続している.崖の高さは50mから70mほどで海に迫っている.この崖を形成しているのは奥尻岩体と呼ばれる花こう閃緑岩である.崖の上部には段丘面が広がっていて平坦な地形を呈している.
赤石岬では石英,カリ長石,角閃石,黒雲母を含む花こう閃緑岩を見ることができる.節理は方状で節理間隔は最大1mほどである.角閃石は弱い定方向配列をしていて,赤石岬では北西-南東方向,北東に85°傾斜の面構造を示す.この面構造は奥尻岩体でほぼ一定である.
西海岸に露出する藻内火山岩類は奥尻花こう閃緑岩体の噴出相と考えられている.奥尻花こう閃緑岩体のK-Ar年代は1億200万年前から9,600万年前,Rb-Sr年代は1億400万年前で,白亜紀前期末から後期初めである.
なお,この岩体が東北日本の北上帯に属するのか阿武隈帯に属するのかは,はっきりとした結論は出されていない.
所在地
奥尻町 赤石
参考文献
川野良信・岡村 聡・久保和也・加々美寛雄(1993)西南北海道,奥尻花崗閃緑岩体の微量元素組成およびSR ,Nd 同位体組成.岩鉱,88,447-456.
柴田 賢・山田直利(1978)北海道,奥尻島の花崗閃緑岩のK-Ar年代.地質調査所月報,29,611-613.
土谷信高(2010)渡島帯の白亜紀火山岩類.日本地質学会(編),日本地方地質誌1 北海道地方,朝倉書店,87-92.