礼文島のなだらかな地形
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氷期の気候がつくった地形(周氷河地形)

礼文島のなだらかな地形

礼文島中央部,起登臼からの礼文岳登山道から望む島北部の地形.丸みを帯びた尾根とスプーン底のような谷地形が拡がる.写真奥にはゴロタ岬が見える.【写真: 阿部寛信】
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礼文島北部,浜中層の珪質泥岩の分布地域にみられる周氷河地形.丸みを帯びた尾根,広い河谷,なだらかな緩斜面が特徴.写真手前には,凍結破砕によって生産された細粒砕屑物により覆われている緩斜面がみられる.【写真: 新里忠史】
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礼文島北部の久種湖周辺や礼文島中央部の礼文岳(標高490.0m)登山道を散策すると,標高500mに満たない場所とは思えない,まるで高山帯にいるかのような景色が広がる.この景色は,年間を通じた強い季節風や著しく寒い気候条件もさることながら,約2万年前の氷期にできた周氷河地形によるところが大きい.

約2万年前をピークとした氷期は,最終氷期と呼ばれている.その最終氷期には,北アメリカと北部ヨーロッパは大規模な氷河で覆われており,海水面の高さは現在よりも120-130m程度低下していたと言われている.日本列島の気温は,当時の植物分布や雪線高度*1の分布から,現在より7~8度低下していたと推定されており,北海道の日高山脈や本州の日本アルプスには山岳氷河が分布していた.

そのような著しく寒冷な気候条件のもとでは,岩石中の水分が凍結して岩石が破壊されたり(凍結破砕),地表面に霜柱や氷の塊(アイスレンズ)が形成され地表面が持ち上がったり(凍上)する.そのような過程を経て生産された土砂は,地形的に低い所へ移動して地表面の凸凹を埋めていく.それらの作用を総称して周氷河現象と呼び,周氷河現象により形成された地形を周氷河地形と呼ぶ.周氷河地形は、“なだらか”あるいは“緩やかな”地形をなすことが多い.

礼文島北部のハイキングコースや礼文岳登山道から眺めると,山稜が丸みを帯びて,谷に向かってなだらかに続く緩い斜面が一望できる.また,その斜面に続く谷は,スプーン状の形をなす場合が多い.それらのほとんどは,最終氷期に形成された周氷河地形である.約2万年前の氷期にできた地形が,現在の高山植物群の足元を支えているのである.

*1:雪線:雪線の高度以上では,降雪や飛雪によって集積する雪の量が融解や蒸発などによって失われる雪の量よりも多く,一方,雪線の高度以下では,集積する雪の量よりも失われる量のほうが多く

【執筆者:新里忠史】

既存の指定など

利尻礼文サロベツ国立公園

所在地

礼文町 起登臼(きとうす)

礼文町 船泊村上泊(うえとまり)

リンク

日本最北の島 礼文島(礼文町公式ホームページ)

Flower Island 花の島礼文島(礼文町観光協会ホームページ)

参考文献

瀬川秀良(1974):礼文島.瀬川秀良著「日本地形誌 北海道地方」,朝倉書店,208-210.
貝塚爽平(1977):氷期と間氷期の日本.貝塚爽平著「日本の地形」,109-134.
三浦英樹(2003):礼文島-風と海と川が織りなす最北の島のかたち.小疇尚・野上道男・小野有五・平川一臣編「日本の地形2 北海道」,東京大学出版会,225-229.
日本第四紀学会・町田洋・岩田修二・小野昭編(2007):地球史が語る近未来の環境.東京大学出版会.

 

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