水中に流出した流紋岩とめのう
八雲町黒岩奇岩(流紋岩溶岩急冷相)
黒岩の海岸に露出する「黒岩奇岩」は八雲層の火山角礫岩部層の一部で,かつて玄武岩質ないし安山岩質と考えられていたが,その後流紋岩質であることがわかった.この露頭は流紋岩のラバーローブ(lava lobe)に水冷によるマクロパーライト構造や多角形の割れ目が発達し,局所的には礫岩と誤認しそうな部分も見られるが,ハイアロクラスタイト(水冷破砕岩)である.
孔隙にはしばしばめのうが沈澱している.ハイアロクラスタイトの孔隙に珪酸分(Si)を多く含む熱水が通過・沈澱したことを示している.硬質頁岩主体である八雲層堆積時には局所的に海底火山活動の場があったことを物語っている.
所在地
八雲町 黒岩
参考文献
地質調査所(1983)5万分の1地質図幅「国縫地域の地質(札幌-59)」および同説明書.42p.
地学団体研究会道南班(2002):「道南の自然を歩く(改訂版)」北大図書刊行会.
八雲町(1974):「八雲町の地質」.道立地下資源調査所.
山岸宏光(1994):「水中火山岩」.北大図書刊行会.