花の浮き島・礼文島の巨大地すべり
礼文島・元地地すべり
礼文島南西海岸に面して屹立する桃岩を挟んで巨大地すべりが元地地すべりである.
桃岩を挟んで北ブロックと南ブロックがあり,分かっている限り最も古い地すべりは,南ブロックで約15,000年前に発生している.
昭和年代は北ブロック内を通る道々元地香深線で地すべりが発生し集水井などの対策工が実施された.
平成に入り南ブロックの活動が活発化し,大規模な地すべりが4回発生し,その後,大規模地すべりの滑落崖を構成するハイアロクラスタイトの岩盤崩落が2回発生した.
現在は対策工が実施され安定している.
地すべりの素因はハイアロクラスタイトの下位に分布する緑色凝灰質砂岩が桃岩の貫入に伴って粘土化したことであると推定される.
既存の指定など
利尻礼文サロベツ国立公園
北海道天然記念物(桃岩付近一帯の野生植物):1959年9月11日指定
所在地
礼文町 元地
参考文献
石丸 聡・河井宏文・三浦 實・石井正之(2003):礼文島元地の2003年5月25日崩壊―660トンの巨大岩塊が50m宙を飛ぶ―.地すべり,第40巻,第3号,69-71.
宮坂省吾・三浦 實・関川博次(1997)岩なだれによって形成された元地地すべり地.地すべり学会北海道支部研究発表論文集,24-31.
Yamagishi,H.,Miura,M.,Ishii,M.,1995,Motpchi Earthflow on October 11,1994,on Rebun Island,Hokkaido.Landslide News,No.9,24-26.
雨宮和夫・宮坂省吾・加藤孝幸・鴈澤好博(1997)北海道礼文島の前期中新世溶結凝灰岩.日本地質学会104年学術大会講演要旨,134.
宮坂省吾・雨宮和夫(2000)礼文島の中新統に関する覚え書き.秋葉 力先生追悼論文集,137-141.
山岸宏光・三浦実・石井正之(1995)1994年10月礼文島元地アースフロー.平成7年度地すべり学会北海道支部研究発表会予稿集,50-51.
磯貝晃一・清水順二・山本茂樹(2008)2006年5月に礼文島元地地すべり付近で発生した岩盤崩落とそれに伴う射出現象などについて.北海道の地すべり研究30年(CD資料集),83-89.