むき出しになった潜在円頂丘
礼文島桃岩ドーム
桃岩は,マグマがつくった幅200〜300m,高さ190mの巨大なドームです.新第三紀中新世に,浅い海底のやわらかな堆積物にデイサイトマグマが貫入してできたものと考えられています.やがて隆起し,周囲の地層が浸食によって削り取られて現在の姿になりました.
西側から眺めると,放射状の柱状節理からなる核と,それを取り囲むように,結晶質およびガラス質のバンドが何層も見えます.外縁に近づくと,マグマが泥と接触した時にできた角礫状の岩石(ペペライト)が観察できます.
できた場所や時代は違いますが,有珠山の周りにたくさんある潜在円頂丘の中身の形もこれに似ているかもしれません.
桃岩トンネルから元地へ向かう道道から見上げるとその迫力に圧倒されます.学術誌にも研究論文が掲載され,潜在ドームの内部が見えるところとして世界的にも有名です.
付近は国立公園特別保護地区です.また落石・岩盤崩壊の危険があります.近寄らずに道路から遠望することにしましょう.
既存の指定など
利尻礼文サロベツ国立公園特別保護地区
所在地
礼文町 元地
参考文献
北海道開発庁(1963)5万分の1地質図幅「礼文島(旭川-2,6)」および同説明書.43p.
Goto & McPhie (1998) Endogeneous growth of a Miocene submarine dacite cryptodome,Rebun Island,Hokkiaido,Japan. J.Volc.Geotherm.Res., 84, 273-286.
道北地方地学懇話会 編(1995)桃岩,道北の自然を歩く.北大図書刊行会,p12.