鮮新世末の熱水変質作用
オロフレ峠の崩壊地形
オロフレ山(標高1,230m)の南側に壮瞥町と登別市の境界にオロフレ峠があります.登別方面に道道洞爺湖登別線(2号)を向かうと,オロフレ展望台に向かう右に入る旧道があります.しばし展望台を目指して進むと広い駐車場で,突然,道が終わる.ここがオロフレ展望台です.展望台に立つと黄白色〜茶色をした絶壁が真下に見えます.
ここは鮮新世末(〜第四紀初め)の熱水変質作用により形成された粘土化岩が広く分布する軟弱な地盤のため斜面崩壊が頻繁に起こりました.旧道は展望台右手にクネクネとありましたが,廃道となり現在は斜面補強のネットが痕跡を残しているのみです.一方の左手には灰色をした険しい崖が連なります.これらは溶脱型珪化岩です.熱水の影響で多くの元素が溶出してしまったために相対的に石英に富んだ石となりました.
この崩壊地を避けるために昭和63年にオロフレトンネル(昭和54年着工)が完成しました.変質帯を貫くトンネル工事のため建設残土からの重金属等の溶出が懸念されたことから,掘削土について溶出試験が既に行われていました.
H21年度から,そうべつエコミュージアム友の会主催の冬のオロフレ峠雪上体験ツアーが始まりました.3月中頃にスノーシューを履いてオロフレ峠周辺で「霧氷」を観察します.
所在地
登別市 カルルス
壮瞥町 オロフレ峠
リンク
参考文献
原田勇雄(1989)オロフレトンネルの設計施工−鉱化変質帯のトンネル施行例.土と基礎,37,101-104.
関連するジオサイト