貝が暮らす静穏な環境での火山活動
小平町 鬼鹿貝化石層
留萌からオロロンライン(国道232号線)を北上,小平町鬼鹿(望洋台~大椴)の道路脇に「鬼鹿貝化石層」の説明文が掲載されている.ここは,アカガイ・タマキガイ・ホタテガイ貝などの化石を多産した地層として昔から知られていた.看板には「採掘され尽くした」と記されている.観察する場合は貝化石を採取するのではなく,どのように地層に含まれているのかを観察しよう.
露頭に近づくと地層は礫岩であることがわかる.この地層は800万年前頃に堆積した鬼鹿層である.この礫岩の特定の層準に二枚貝の形や模様が無数に認められる.貝殻はほとんど残存せず,多くは地層に残された印象化石である.生前のように貝殻が合わさった合弁状態の化石も多い.また別の地層では化石数は少ないが,ホタテガイなどの殻の破片が見られることもある.
露頭北側のコンクリートの落石防護壁を越えたところにも露頭がある.この露頭は層理構造の発達した安山岩質火砕岩からなる.さきほど見た貝化石を含む礫岩中には安山岩の礫は認められない.このことは,当時,多量の貝が暮らす安穏とした海底の周辺で,突然,火山活動が起こったことが示している.
所在地
小平町 花岡
参考文献
対馬坤六ほか(1956)地域地質研究報告(5万分の1地質図幅)「鬼鹿地域の地質」.地質調査所,p17.
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