神秘の沼
阿寒 オンネトー
道東雌阿寒岳の西麓に「神秘の沼 オンネトー」が隠れている.雌阿寒岳から流出した溶岩が螺湾川の流れをせき止めてできた堰止湖である.湖水は酸性のため魚は生息できず,エゾサンショウウオとザリガニのみが生息する.この他にも湖底からは天然ガスの徴候も報告されている.北側の沢部から湧出し沼に流れ込む水は褐色の水酸化鉄が多量の沈殿しており(写真2枚目),この水が流入しているとは,エメラルドグリーンの美しい湖面からは想像しにくい.
オンネトーの湖面は,刻々と色彩を変化させることから五色沼の異名もとる.尾山・芝原(2008)は,採取した湖水中の懸濁物の消散係数を測定した結果,青色を強調するレイリー散乱や光吸収はみられなかったとしている.そこで彼らは,懸濁物について実測したパラメータを用いてシミュレーションを実施した結果,水深の違いが黄〜赤の波長帯(600-800nm)を大きく変化させ,水深が深くなるに従い黄→緑→青緑→緑青と変化することを確認した.この水深による色彩変化はオンネトーの湖面を眺めていると実感しやすいと思う.
既存の指定など
阿寒国立公園
所在地
足寄町 オンネトー
リンク
参考文献
尾山洋一・芝原暁彦(2008)酸性湖沼オンネトーの呈色要因.日本陸水学会第73回大会 札幌大会 講演要旨集,P0001.
三谷 勝利,藤原 哲夫,石山 昭三 (1964) 5万分の1地質図幅「上足寄(釧路-6)」および同説明書. 北海道開発庁, 57p.
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