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過去9500年間の巨大津波レコーダー

釧路市春採湖

2004年2月に行った春採湖氷上ボーリングの状況【写真: 七山 太】

【写真: 】
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北海道東部太平洋沿岸には,縄文海進以降に生じた湿原や海跡湖が多数存在する.また,同地域は地震津波の多発地帯であり,七山・重野(1998)以来,過去数千年間に堆積した泥炭層および湖沼堆積物中の津波堆積物に関する研究が活発に行われてきている.

 春採湖は,北海道東部太平洋沿岸最大の都市である釧路市に位置するこの地域における代表的な海跡湖の一つであり,上位の淡水層と下位の塩水層の2層から構成される部分循環湖であることがよく知られている.この為,湖底において硫化水素濃度 670mg/l という世界記録が報告されており,このような強還元環境のため,湖底には年縞堆積物が累々と生成・保存されてきた.また昭和12年にヒブナの生息地として国の天然記念物に指定されています.

 我々は氷上ボーリングによって湖底から柱状試料を採取し,過去10年間にわたって詳細な堆積学的解析を行った.その結果,春採湖の古環境変遷と千島海溝沿岸域において周期的に発生してきたと推測される巨大地震津波との関連について,以下の5 点が明確となった.

(1)春採湖地域では,9500 年頃に海進が達し,htd22 イベント(約8500 年前)までの間,エスチュアリーもしくは干潟環境であったが,それ以降は急激に内湾環境に変化して,珪藻質泥層が堆積できるような水域になった.この古環境変化には,巨大地震津波による地形改変の影響があったと示唆される.

(2) それ以降の急激な海面上昇によって,htd10 イベント(約3500 年前)までの期間は主に内湾環境が卓越した.しかし,この安定した海面上昇期間でも,htd20(約8000 年前)とhtd18 イベント(約7000 年前)時には,一時的に湖水環境になったことが明らかとなった.これらは,巨大地震津波によって地形改変を被った可能性が示唆される.

(3)htd9 イベント( 約3000 年前) 以降に,現在の閉塞された春採湖の湖水環境が成立したことが判明した.これは巨大地震津波による河口閉塞,もしくは海面停滞による沿岸砂州の発達が原因と考えられる.

既存の指定など

国の天然記念物 春採湖ヒブナ生息地

所在地

釧路市 春採

リンク

釧路市立博物館

参考文献

北海道開発庁(1961)5万分の1地質図幅「釧路(釧路-47)」および同説明書.53p.
七山・重野,1998,月刊地球号外,no. 15,177-182
七山ほか,2001,活断層・古地震研究報告,no. 1,233-249
添田・七山,2005,地学雑誌,VOL.114 No.4,626-630

 

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